開発のねらい
開発にあたって考えたこと
もっと楽しく、もっとお客様に喜ばれる仕事がしたい。自動車ディーラー業を人気職種にしたい。こんな想いから Clear Box はスタートしました。
残念ながら「営業」という言葉のもつイメージは、日本ではあまり良くないようです。私、河村も学生時代、合コンではワイシャツの腕まくり(営業の勲章?)をそそくさと戻したことを思い出します。
しかし、自動車の営業とは、高額商品を扱う大変奥が深く面白い仕事であることも事実です。では、なぜこの面白さが伝わらないのだろうと考えたときに、面白さの要素を理解し、それを伝えることが出来ていないことに気が付きました。自由に考え自分で計画を立てて行動し成果をおさめていく面白さが、面白いがゆえに伴う苦労にのみ焦点があたり、伝わっていないと。
そこで、営業やサービスに伴う様々なプロセスを整理し、業務フローとして再構築し、その活動の中で働く仲間同士のコミュニケーションが高まり、その結果として、高い顧客満足を得られるような仕組みを構築出来ないか・・・・。ずっと考えていました。10年以上も考えていました。そして、幸運なことにその思いを形に出来る機会を頂き、 Clear Box として生み出すことが出来ました。
名前の由来:従来営業の世界には、顧客に面談するというスタートと、商品やサービスを購入頂くというゴールがあるものの、その間はブラックボックスでした。強いてあげれば、努力とか根性とか・・・。勿論それらを否定することは出来ないのですが、それだけでも目的は果たせないことも確かです。そこで、スタートからゴールまでを、ブラックボックスではなく、透明で見えるクリアーなボックスにする必要がある・・・。そんな想いから Clear Box と名付けています。
大切にした考え方
1、企業が使うものなので、コストパフォーマンスに優れていること。すなわち収益性のある仕組みであること。
2、仕組みを運用することで、高い顧客満足を得られること。
3、使用するスタッフ間に、「話合い」が発生し、コミュニケーションの頻度も質も高まること。
4、IT関係に強くない人がほとんどという前提のもと、マウスとテンキー操作で多くのことが出来ること。
5、使えば使うほど、その組織の風土が高まること。
(あくまでも開発の際に強く意識したことであり、成果を保証するものではございません)
上記のようなことを考えながら、現場で創る現場のシステムらしく、細かな使い勝手にこだわり開発を続けてきました。
開発の舞台となったHonda Cars若狭では、この取り組みが評価され、自動車ディーラーとしてははじめて、「ハイ・サービス日本300選」を受賞することが出来ました。
画像は、開発にあたって最初に描いたシステム全体のチャートです。
顧客とのコミュニケーション
顧客とのコミュニケーションモデル
担当者と顧客との人間関係から、オールスタッフと顧客との人間関係へ。進化の鍵は、リアルタイムとシームレス。
かつてお客様の多くは、担当営業スタッフとの信頼関係を重視されました。現在では、多くのお客様が、担当営業スタッフのみならず、店との信頼関係を求めていらっしゃいます。
私たちには、大別すると「営業」「サービス」「事務」という業務があり、それぞれに顧客との接点があります。つまり、それぞれに情報の入手経路があるということです。当然お客様は、どこかのセクションに情報伝達すれば、全てに行き渡ることを期待されます。それも瞬時に。そしてどのような情報も担当営業スタッフに伝達されていることを望んでいらっしゃいます。
頭では理解出来るものの、部門をクロスする情報の伝達は実は簡単なようで難しい作業です。
その情報伝達を、リアルタイムに、シームレスに行えることを開発において強く意識しました。情報共有することで得られる、お客様の笑顔、スタッフ同士の信頼のために。
画像は、開発にあたって、顧客とのコミュニケーションをイメージしたチャートです。
プロセスを革新
新たなプロセスを生む高効率な業務フローモデル
過去の情報検索システムから、お客様の未来をスタッフが共働し創るシステムへ
新しい顧客とのコミュニケーションを生むには、当然新しい仕事の流れ=「業務フロー」が必要となります。業務フローを創ることは決して難しいことではありませんが、理に適わない無駄の多いものを構築してしまうと、当然のことながら収益性を圧迫します。
そこで、私たちはお客様に提供したいサービスに基づいて、しっかりと未来の活動計画を把握し、それをオールスタッフの共働によって改廃していくという形の業務フローを強く意識して開発を進めてきました。
また、他の多くのシステムとの相違点として、「引取り・納車」「代車」の管理など、システムで行うべき複雑な事柄ながらも仕組み化されていなかったことを機能させました。また多くの捜し物(車検証の写しや過去のサービス資料など)を省くための工夫も随所に組み込んであります。業務フローとは痒いところに手が届いてはじめて「業務フロー」であると考えているからです。
情報の入力とは、入力した情報が必ずフィードバックすると判るととても楽しいものです。しかしながら、フィードバックが見えないと苦痛以外の何者でもありません。私たちは、この当たり前の人間感情を強く意識して開発を進めてきました。つまり、入力した情報が、自分自身の、仲間のスタッフの役に立つということを実感出来る操作性、情報の開示性・・・などなど、こだわったところは数え切れないほどあります。
また、業務フローの構築とは、できあがったものを組織にはめ込む作業とは違います。スタッフによる対話をもとに協力して作り上げていくものです。私たちはこの「話合いが入るスキマ」を強く強く意識して開発を進めてきました。なぜならば、デジタルシステムの一番苦手なところが「スキマ」を設けておくことだからです。開発チームの話合いに話合いを重ねた結果が、システムのもつ「スキマ」に反映されていると考えています。
画像は、開発にあたって描いた、業務フローのイメージチャートです。